犬にも人と同じように血液型があることを知っていますか？
人も血液型を知っておくとメリットがありますが、飼い犬も血液型の検査をしておくと安心です。
この記事では犬の血液型と人の血液型の違いを解説した上で、犬の血液型を飼い主が知るメリットと検査方法を紹介します。
犬の血液型は人とは違う
血液型は犬と人との間で違いがあります。
血液型とは血液に含まれている成分である赤血球に存在する抗原と、血液中にある抗体と呼ばれる物質によって決められています。
血液型は基本的には、赤血球が持っている抗原によって定められている点では犬も人も同じです。
ただ、人と犬では抗原の種類に違いがあるため、血液型の分類がまったく異なっています。
人の血液型
人の血液型にはABO式血液型とRh式血液型があります。
有名でよく知られているのはABO血液型で、A型、B型、AB型、O型の4種類に分類できます。
赤血球に着目したときに、A型はA抗原、B型はB抗原を持っていて、AB型はA抗原とB抗原の両方を持っているのが特徴です。
O型はどの抗原も持っていません。
Rh式血液型ではD抗原を持っているとRh+、持っていないとRh-になります。
犬の血液型
犬の血液型はDEA（Dog Erythrocyte Antigen）によって国際基準で定められています。
DEAは日本語では犬赤血球抗原で、主に血液型の判定に用いられているのはDEA1.1、1.2、3、4、5、6、7、8の8種類です。
人と同じように赤血球に存在する抗原の有無によって血液型が定義されています。
人よりも犬の方が抗原が多いため、ABO式のようにシンプルな形で犬の血液型を4種類に定義することはできません。
8種類の抗原に対して(+)と(-)の判定をして血液型を決めています。
犬には2の8乗通り＝256通りもの血液型があります。
犬の血液型を知っておくメリット
人の場合にも血液型を知っていると便利ですが、犬の場合にも飼い主にとって多くのメリットがあります。
犬の血液型を知るメリットを確認しておきましょう。
輸血がスムーズにできる
血液型がわかっていれば、輸血が必要なときにスムーズに治療を受けられるのがメリットです。
それぞれの抗原について(-)か(+)かを見て適合している血液を輸血に使用することが重要だからです。
基本的に抗原がない(-)の血液はどの犬にも輸血できます。
しかし、輸血される犬が(-)で、供与する犬の血液に抗原が含まれている(+)の場合には拒絶反応による溶血が起こるリスクがあります。
初回の輸血のときには通常はトラブルが起こりませんが、2回目以降は溶血するのが一般的です。
犬が輸血を受けなければならないのは、大量出血をしたときだけではありません。
貧血や造血機能不全、白血病などのときにも必要になるので、血液型がわかっているといざというときにすぐに輸血して治療を始められます。
献血で貢献できる
血液型がわかっていると献血できます。
病気や怪我で困っている犬を助けるために、自分の飼っている犬の血液を提供して世の中に貢献できます。
供血犬には年齢や予防接種などに関して条件を満たすことが必要です。
しかし、病気などで悩んでいる世の中の犬にとって必要な血液を供給できる点で、血液型を確認しておくことは重要です。
新生児溶血のリスクを減らせる
犬を育てて交配させたいときには血液型が重要な意味を持ちます。
血液型が合っていない父犬と母犬から生まれた子犬は、新生児溶血を起こすリスクが高いからです。
父犬と母犬の血液型が完全に一致していればトラブルが起こることはありません。
血液型が違っていると、子犬を育てるときに母犬が与えるお乳が原因で溶血が起こる場合があります。
新生児溶血が起きて亡くなってしまうこともあるので、血液型を考慮してパートナーを決めるのが大切です。
犬の血液型を知る方法
人と同じように犬も簡単な方法で血液型を確認できるのでしょうか。
現在では犬の血液型を知りたいときには2つの方法があります。
- 動物病院で検査してもらう
- 専門の検査会社に依頼する
どちらの場合にも検査キットを使用して血液型を調べます。
少量の血液を採取して検査する仕組みです。
ただ、現状として使用されている検査キットではまだDEA1.1しか判定することはできません。
今後、検査キットが充実すればあらゆる赤血球抗原のプラスマイナスを判断できるようになる可能性があります。
まとめ
犬の血液型は人とは違い、主に8種類の赤血球抗原の有無によって判定されます。
血液型を知っていると、輸血が必要になったときにスムーズに適切な血液を選んでもらえるのがメリットです。
献血をして世の中に貢献したい場合にも血液型を確認する必要があります。
現在ではDEA1.1しか簡便に判定できる血液型はありません。
しかし、輸血のときにも交配のときにもリスクを減らせるので、犬のために血液型を把握しておきましょう。
